スウィートコーヒー
「慎治さんは……彼女とかいないの?」
あっ聞いっちゃた……。
実はずっーと気になってたんだよね。
「いないよ。当たり前じゃん。だから柚ちゃんにアタックしてるんでしょ?」
「えっ…あっ……そうなんだ」
「そろそろ俺の彼女になる気なった?」
「なっ…なりません!」
「ちぇっ、残念」
どうして慎治さんはこんなことがサラっと言えちゃうんだろう。
て言うか、本当に彼女いないのかな?信じても…いいのかな……?
それからあたし達は他愛もない話をした。
慎治さんの話は楽しくて、ドキドキした。時々、真面目な話もしてくれたりして……時間が経つのは本当に早いと思った。
「柚ちゃ~ん、休憩終わりだよ~」
えっ?もう?
まだ話してたかったのに……。
きっと、誰が見ても落ち込んだように見えたと思う。
こんなあたしの心情を慎治さんに知られるのは恥ずかしかったけど、隠す余裕なんて今のあたしにはなかった。
「柚ちゃん、また来週ね」
ニコッ
「あっ…うん!」
はっきりと気づいた。
あたし慎治さんが好き!
まだ全然話したりしてないけど、好きになるのに時間なんて関係ないよね。
それに慎治さんのことは前々から知ってたんだから。あたしきっと知らず知らずのうちに惹かれてたんだ……。
だからあの人の注文はいつもあたしが受けてた。あたしの存在に気がついて欲しくて。
そんなことに今気づくなんて。
なんてあたしは浅はかだったんんだろう……。