スウィートコーヒー
チリーン
「あっ、はーい」
いけない、いけない。
仕事を忘れちゃ駄目だよね。
「えっと……コーヒー、一杯で210円になります」
んっ?待てよ……
コーヒー一杯ってことは…!
「やっ」
そう言ってニコッと笑ったのは、さっきの男の人。
いやあぁ―――!
何でこんなタイミング悪いのあたしって……
「210円になります!」
「柚ちゃんって言うんでしょー?可愛い名前だね。俺のこと知ってる?毎週金曜日に来てるんだけど」
「210円です」
「俺ねー瀧口 慎治、23歳。A型でー、会社員かな。他に何か知りたいことある?」
「に・ひゃ・く・じゅ・う・え・ん!」
「……ちぇっ、つれないなぁ~。まあいいや。また来るからね、柚ちゃん♪」
カランカラン
「「ありがとうございました~」」
もう二度と来るな馬鹿男!
最低最低最低!
パソコン打ってる時はまだ真面目そうで良い人だと思ってたのに……あんな軽い人だなんて思ってもみなかった!
もう絶対接待なんてしないんだから!