冷たい王子とチビな私


「はぁ、はぁ、はぁ...」

私さっきはなんてことをくちばしったんだろ。全力疾走したせいで、息がかなりあがってしまい、呼吸が上手くできない。近くの自動販売機に寄りかかって、息をととのえていた。

また歩きだそうとした時、よろめいて倒れそうになったその時...


ドサッ
「...っぶね。大丈夫ですか?」

聞き慣れたこの声の主は...

「...ま、もるくん?」
そこには赤田守くんがいた。

「って、、えっ!ひめ?!」

守くんは目を見開いて頬を少し赤くした。

「...大丈夫かよ?」

私の顔をのぞき込んで、心配そうな顔をしてきいてくれた。

「...うん。ちょっと、久々に走ったら目がまわっちゃって...」

日頃本やピアノばかりしているから、走ることなんてあんまりないのに、全力疾走した自分が恥ずかしい。

さっきの言動もはずかしい。

「....誰ときてんの?」

「え?」

彼はボソリと呟いた

「えっ、あーと、俺は妹ときてんの!だから姫はだれとなのかなーって。」

「あぁ。そうゆうことなんだ。」

守くんは妹思いで有名で、よく妹と遊びにいくと聞いていた。

「私は、大石竜斗くんだよ。」

「え?」

守くんは目を見開いたままかたまってしまっている。

「ん?それにしても、本当に妹おも...っ?!」

グイッ!!!!
守くんは私の唇に自分の唇をあわせた。

「ん?!?!」

守くんは私の唇をはなそうとしない。自動販売機に押さえつけられていて、抵抗しても、力では勝てない。
すると自動販売機の前を走って人が通りかかった。その通りかかった人と目が合った瞬間冷や汗がでた。

〝竜斗くん...!!!!〟

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