オオカミ御曹司に捕獲されました
息子の次は……父親ですか?

私に安息の時間は来ないのだろうか。

どうしよう~?

差し出したこの手の引っ込みがつかない。

私が目を白黒させていると、社長が身を屈め、タッパーに手を伸ばす。

「いやあ、悪いね」

社長はニコニコ笑いながら漬け物を手でつまむと、パクッと口に入れた。

「おっ、これは旨いな。私は漬け物に目がなくてね。どこで買ったのかな?色、ツヤ見事だし、味もいいね」

社長は親しげに話しかけてくる。

背は杉本君の同じくらい高くて、髪も黒々してて、顔はイケメンでダンディー。

大企業の社長なのに、とっても気さくなんだよね。

私が就職活動の最終面接で遅刻した時も、こんな感じだった。
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