オオカミ御曹司に捕獲されました

「白いご飯が欲しくなるね」

社長が私のおにぎりを物欲しそうに見る。

「……おにぎりしかないんですけど、どうですか？」

そんな目で見られたら勧めないわけにはいかない。

「いいのかい？じゃあ、遠慮なく。ランチミーティングで弁当を食べたんだが、毎日似たような物しかなくて飽きてしまってね」

社長はおにぎりを手に取ると、嬉しそうに笑って私の隣に腰を下ろす。

「塩おにぎりか。う～ん、塩加減が絶妙だ。旨い」

ゆっくり味わうように社長はおにぎりを口にする。

「お口に合って良かったです」

私は社長に向かって微笑んだ。

「飽きない味だ。もっと欲しくなるね」

「あっ、キュウリの漬け物もいかがですか？」