オオカミ御曹司に捕獲されました
7、梨花の家族 ー 学side
「尾高製鉄との商談、すぐにまとまりそうだな」

社用車の中で親父が満足気に頬を緩める。

「お陰さまで」

親父の目を見て俺も笑顔で返した。

「学さんならいつ経営陣に加わっても大丈夫ですね」

助手席にいる社長秘書の桜井さんが、ルームミラ越しに俺を見て穏やかに微笑む。

「いいえ、まだまだ経験を積まないと、桜井さんに笑われてしまいますよ」

俺は小さく首を横に振った。

「来年あたり、うちのアメリカ支社に行ってみてはどうだ?」

親父が顎に手を当てながら俺に提案する。

「そうですね。ちょうどいい頃合いかもしれません」

フッと微笑しながら、俺は親父に言葉を返した。
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