オオカミ御曹司に捕獲されました
「ふん、お前なんか、梨花ちゃんにこっぴどく振られてしまえ」

ムスッとした顔で親父が呟く。

「何勝手に“ちゃん”付けで呼んでるんですか?」

ギロッと親父を睨むと、親父はしれっとした顔で言った。

「これは社長特権だ」

「社長、そんな特権ありませんよ」

桜井さんが真顔で突っ込む。

彼は四六時中親父と一緒にいるのだからさぞかし疲れるだろうな。

俺が上司なら桜井さん特別手当てを出してやりたい。

「ところで、詩織さんがうちで働きたいと言ってきたのだが、お前が何か言ったのか?」

形勢が悪いと思ったのか、親父は急に話題を変えた。
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