オオカミ御曹司に捕獲されました
だって、杉本君の妹にはさすがに危害加えられないしね。

「今日はお兄様遅いですわね」

「私は別に詩織ちゃんのお兄さん抜きでもいいんだけど……」

打合せが延びているのだろう。

ずっと終わらなきゃいいんだけどな。

「梨花さんは、お兄様の事嫌いなんですの?」

私の言葉に詩織ちゃんは意外そうな顔をした。

……嫌いではない。でも……。

「嫌いって言うんじゃなくて、ええと……畏れ多いって感じかな。私は一社員だけど、お兄さんは将来うちの会社の社長になる人でしょう?」

はっきり詩織ちゃんに苦手とは言えず、咄嗟に取り繕う。

「では、もし梨花さんがどこか有名会社の社長令嬢だとしたら、対等ではありません?でも……身分違いの恋っていうのも燃えますわね」

詩織ちゃんが嬉々とした顔になる。
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