オオカミ御曹司に捕獲されました
「見物って……。私は見世物ですか。面白がらないで助けてよ」

詩織ちゃんの台詞に苦笑しながら小声でぼやく。

「あっ……」

詩織ちゃんの表情が急に固まる。

「どうしたの、詩織ちゃん?」

「そう言えば、私、お父様に呼ばれてたんですわ。片付けはどうしましょう?」

詩織ちゃんは両手を口に当ておろおろする。

彼女は顔が美人さんだから冷たく見えるけど、こういう可愛いところがある。

「それは大変。社長が待ってるんじゃない?お兄さんはいつ来るかわからないし、片付けはいいから行ってきなよ」

私は詩織ちゃんを安心させるように微笑んだ。

「ごめんなさい」

詩織ちゃんはペコッと軽く頭を下げて謝ると、小走りでこの場を去った。
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