オオカミ御曹司に捕獲されました
彼女の姿が見えなくなると、ホッと一息つく。

何気なく空を見上げると、雨雲のような灰色の雲が目の前に広がっていた。

雲行きが怪しい。

……雨降りそう。

杉本君は来ないかもしれないし撤退しようかな。

今何時だろう?

ふと腕時計に目をやれば、時計の針は十二時四十七分を指していた。

「これは撤退だね」

杉本君の分を小さなタッパーにまとめると、テーブルの上を素早く片付ける。

階段を降りて屋上のドアに向かおうとすると、思わぬ人物と出くわした。

げっ……専務秘書の佐藤さん!

なんか私の事凄く睨んでるし、ただならぬ雰囲気なんですけど……。
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