オオカミ御曹司に捕獲されました
「い……いいえ、結構です!ひとりで帰れますから!」

杉本君の手から逃れて帰ろうとするが、彼はしっかり私の腕をホールドしていて離してくれない。

え~、何で離してくれないの!

佐藤さん振るの見ちゃったから?

私の頭はパニックだ。

「あの……秘書課の佐藤さんのことは誰にも言いません」

だから、帰らせて~!

涙目でそう訴えるが、杉本君は面白そうにクスリと笑って、私の耳元で囁いた。

「五十嵐さん、服が濡れて下着が透けて見えてる。服も買わないとね」

杉本君の甘い低音ボイスに背筋がゾクッとして身体が固まるも、彼の言葉の意味を遅れて理解した私は慌てて胸を押さえた。
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