オオカミ御曹司に捕獲されました
「大丈夫。これで見えないよ」

杉本君は私から手を話すと、にっこり微笑んでスーツのジャケットを脱いで私の肩にかける。

……この笑顔が怖い。

やっぱり私……聞いちゃいけないこと聞いちゃった?

どうなるの~?

会社首になる?

社会的に抹殺される?

ブルブル震えながら怯えていると、杉本君が身を屈めて私が落として水浸しになった漫画本を拾った。

「本も濡れちゃったね。カバーしてあるけど、中は大丈夫かな?五十嵐さんはどんな小説読んでるの?」

「あっ……待って!」

私の制止を無視して、杉本君がパラパラと本を捲る。
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