オオカミ御曹司に捕獲されました
私は右手を左右に振りながら丁重に断る。

家政婦と思ってもらった方がむしろビジネスライクでやりやすい。

「杉本君、早速で悪いんだけど、冷蔵庫貸してもらっていいかな?」

糠床を冷蔵庫に入れておきたい。

「どうぞ」

杉本君はスーツのジャケット脱ぐと、ソファーにジャケットを置く。

「ありがとう」

リビングの隣にあるキッチンに向かおうとすると、杉本君に呼び止められた。

「梨花、ごめん。ちょっと待って。キッチンに行く前にネクタイ外すの手伝ってくれる?」

「あっ……気が利かなくてごめんね」

おっと、糠床に気を取られてて、本来の目的を忘れるとこだった。
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