オオカミ御曹司に捕獲されました
「これからシャワー浴びようと思って。梨花、手伝ってくれる?」

杉本君の台詞にギョッとする。

シャワー中杉本君に迫られるシーンを想像し、ボッと火がついたように顔が真っ赤になる。

あんな密室、逃げ場ないじゃない‼

絶対ダメ~。

「それだけは勘弁して~」

私が首がちぎれそうなくらいブンブン首を横に振ると、杉本君はハハッと声を上げながらリビングを出ていった。

私……完全におちょくられてる。

やっぱり家に帰りたい~!

杉本君、家に帰っちゃダメ?

そう面と向かって彼にお願いする勇気はなく、糠床を冷蔵庫に入れると、消耗しきった私はソファーにドサッと腰を下ろした。

この生活……いつまで続くんだろ。

「私の心臓もたないかも」

広いリビングに残された私は盛大な溜め息をついた。
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