オオカミ御曹司に捕獲されました
「急かしますわね」

俺が苛立ってるのを見て面白がっているのだろう。

妹の目は楽しげに笑っている。

「俺もいろいろ忙しいんだよ。で、何がわかった?」

「お父様の会社のIDを使って江口課長の身辺を調べても何もわかりませんでしたから、梨花さんの事を調べてみましたの。梨花さんが私生児ということはご存じかしら?」

「ああ」

その話については、先週桜井さんから聞かされたばかりだ。

「お母様が梨花さんが小さい頃に亡くなられた事も?」

「知ってる。それで?」

今のところ新しい情報はない。

適当に相手をして早く帰らせるか。

だが、次の妹の言葉は俺の興味を引くものだった。

「梨花さんのお母様は、江口石油で働いていたらしいの。しかも、社長秘書」

「へえ」

江口石油……しかも、社長秘書ね。
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