オオカミ御曹司に捕獲されました
杉本君に腕を捕まれたまま店を出るが、私は立ち止まった。

「五十嵐さん、どうしたの?」

杉本君が私の顔を見て首を傾げる。

「これは私の分です」

財布からお金を出すと、私の分も会計を済ませた彼の手に小銭を押し付けた。

杉本君に借りなんて作りたくない。

それに、自分の分は自分が払わないとスッキリしないのだ。

「そんなのいいのに」

杉本君が小銭を返そうとするが、私はキッパリ断った。

「でも、自分が飲んだ分だから」

「そう?わかったよ」

目を細めて笑みを浮かべると、杉本君は小銭をズボンのポケットにしまった。
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