オオカミ御曹司に捕獲されました
少し咎めるような口調で言うと、そんな俺の目を見て妹はうっすらと口角を上げた。

「バレなければ問題ありませんわ。後日、お兄様のところに興信所から請求書が届きますから、よろしくお願いしますわね」

このふてぶてしさ。

ある意味うらやましい。

「わかったよ」

「あっ、そう言えば、忘れるところでした。これ、お母様からの桃です。梨花さんに剥いてもらって下さいね」

妹が持っていた袋を俺の手に押し付ける。

「では、私はお邪魔虫のようですので、これ失礼しますわね」

踵を返して帰ろうとする妹に、俺は兄としての義務感から声をかけた。

「タクシー呼ぼうか?」


< 191 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop