オオカミ御曹司に捕獲されました
『俺の身体洗ってくれる?』

杉本君が甘い低音ボイスで囁く。

トクンっと大きな音を立ててはねる心臓。

「無理~!」

私は大声で叫ぶと、パッと目を開けて飛び起きた。

あれっ?

今のは全部夢?

杉本君が悪魔になってたけど、昨日の出来事を集約したような夢だったな。

ソファーの背にもたれかかり、髪をかき上げる。

寝てたはずなのに全力疾走した後のようにゼーハー肩で息をしているのはどういう事だろう。

ん?寝てた……?

ハッと我に返って周囲を見渡せば、ここは杉本君の家のリビングで、私が寝ていたのはソファーの上。

目がぼやけるって思ってメガネを探すと、テーブルの上にメガネが置かれていた。
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