オオカミ御曹司に捕獲されました
杉本君の問いかけに私はコクッと頷く。

「ちょっと佐藤さんの夢を見ちゃって……」

当分、佐藤さんには会いたくない。

私が沈んだ顔でそう言うと、杉本君は身を屈め私の頭を優しく撫でた。

「大丈夫。もうあんな事は起こらないから。巻き込んでごめん」

杉本君が真摯な目で謝る。

私はそんな彼を呆然と見つめた。

いつも完璧な杉本君なのに、今は髪の毛が一房クルンとはねていて、それが子犬の尻尾みたいで可愛い。

よほど慌てて来てくれたのだろう。

……本当に私の事心配で来てくれたんだ。

悪魔な杉本君も夢に登場した事は、あえて言わないでおこう。

私が手を伸ばして杉本君の髪に触れると、彼は目を見開いて驚いた顔をした。

「梨花?どうしたの?」
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