オオカミ御曹司に捕獲されました
返しても私が受け取らないのをわかっていたのだろう。

「ちょっと電話をかけるから待ってて」

杉本君はスマホを取り出すとどこかに電話をかける。

この隙に逃げられないだろうか?

後ずさりしてこっそり逃げようとするが、すかさず杉本君の手が伸びてきて腕を捕まれた。

ええ~、何でバレる?

後頭部にも目があるんですか?

私が驚きで目を丸くしていると、杉本君はフッと微笑した。

……その笑顔がダークで怖いんですけど……。

怯える私を面白そうに眺めながら、杉本君は電話の相手と話をする。

「杉本だけど、今日の同期会、急用が出来て欠席する。悪い」

手短に電話を切ったと思ったらまた杉本君は電話をかける。
< 20 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop