オオカミ御曹司に捕獲されました
私が杉本君の前にお皿とフォークを置きながらそう言葉を返すと、彼は楽しげに頬を緩めた。

「最近、睡眠薬より効果のある薬を発見したんだ。そのうち、俺の不眠症も治ると思うよ」

杉本君の台詞に何故かゾクッと悪寒がした私。

なんだろう?

また風邪でも引いたかな。

「……それは良かったね」

首を傾げながら差し障りのない言葉を言って、自分も杉本君の向かい側のテーブルにつく。

「頂きます」

杉本君が手を合わせる。

「お口に合わなかったらごめんね。フォークで良かったかな?」

私が杉本君に目を向けると、彼は早速フォークで玉子焼きを刺して口に運ぶ。
< 203 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop