オオカミ御曹司に捕獲されました
「杉本君、良いとこ知ってそうだよね。気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとう」

梨花が柔らかな笑みを浮かべる。

だいぶ俺に笑顔を見せてくれるようになったが、まだどこか他人行儀なんだよな。

俺と梨花の間にある壁。

さて、どうやって埋めていこうか。

そんな事を思案しながら歩いていると、数メートル先を見覚えのある顔が横切った。

……江口さん?

メガネをかけていなかったが、あれは江口さんで間違いないと思う。

だとしたら、こんな偶然そうはないと思うのだが……。

祖父母がいてたまたま会いに来たのか?

う~ん、なんかやっぱり梨花と繋がってるような気がする。

「杉本君、どうしたの?ボーッとして」
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