オオカミ御曹司に捕獲されました
「梨花、待ってたよ。隣にいるのは梨花の彼氏かい?」

チラリと俺に目をやると、おばあさんはニコニコ顔で梨花に視線を戻す。

今日二度目の質問。

「おばあちゃん、期待してるとこ申し訳ないけど、杉本君さんは私の会社の同僚なの」

ハーッと溜め息交じりの声で否定する。

「杉本学です。はじめまして。突然お邪魔してすみません。漬け物名人の師匠にどうしても会いたくて来てしまいました」


にこやかな笑顔で挨拶すると、梨花のおばあさんは俺に微笑み返した。

「今日はハンサムな殿方にたくさん会えて嬉しいわ。私があと五十若ければねえ」

たくさん?

梨花のおばあさんの言葉に引っ掛かりを覚える。

やっぱり江口さんもここに来たんじゃあ……。
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