オオカミ御曹司に捕獲されました
おまけに、杉本君に言われたのもあるんだろうけど、おばあちゃんは彼を下の名前で呼んでいる。

おばあちゃん、冷静に考えてよ。

杉本君みたいな顔も格好良くて仕事も出来る御曹司が、私のような庶民と結婚するわけないでしょう!

杉本君も杉本君だ。

おばあちゃんを楽しませるのが目的なのかもしれないけど、年寄りに変な期待を持たせないでよ。

「梨花、パスタ、全然食べてないけど。食欲ないの?」

杉本君が気遣わしげに私に声をかける。

そんな私達の様子を見て、おばあちゃんはニコニコ顔。

あ~、食欲なくす。

この誤解、解くのはかなり厄介だ。

「……もうお腹一杯だから」

フーッと息を吐きながら、私はフォークを皿の上に置いた。
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