オオカミ御曹司に捕獲されました
でも、杉本君の足が長くてすぐに横に並ばれた。

「まだ怒ってるの?」

にこやかな顔で杉本君が私の顔を覗き込む。

「怒ってますよ!」

杉本君の目をキッと睨み、私はプウッと頬を膨らませた。

「年寄りを騙すような事言わないで下さい!結婚する気なんてないのに変な期待持たせたら、祖母が可哀想じゃないですか!」

私には今だかつて恋人がいたことなどない。

好きな人だってずっと少女漫画に出てくる登場人物だった。

そんな私が結婚する可能性なんて皆無に等しい。

おばあちゃんも私が来ると、気を遣って結婚の話題を避けていたのに……杉本君は気安く結婚の話なんか冗談で持ち出して……。

今日はいつもに増してはしゃいでいたおばあちゃん。

孫娘の恋人に会えたのが相当嬉しかったらしい。
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