オオカミ御曹司に捕獲されました
私を気遣うようにそう言ったかと思ったら、杉本君は突然スーツのジャケットの上から私の身体をギュッと抱き締めてきた。

ギャー!

一瞬にして石化する私の身体。

微かに香る甘いムスクの香り。

この匂いには何か人を硬直させる魔力でもあるのだろうか。

杉本君ってやっぱ怖い……。

「これで少しは温かくなるかな」

杉本君は優しい言葉をかけるが、私の身体の震えは益々酷くなる。

暗に“逃がさないよ”って言われてるようで怖いんですけど……。

「お、お、お構いなく」

杉本君の腕を振りほどこうとするが、彼は離してくれない。

「ダメだよ。震えているじゃないか」
< 24 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop