オオカミ御曹司に捕獲されました
静かな声だったけど、杉本君はきっぱり断言した。

「……本当に?」

私は思わず顔を上げて杉本君に確認する。

もう一度彼の揺らぎのない言葉を聞いて安心したかった。

「本当だよ。俺を信じて」

杉本君は私の目を見てゆっくり頷く。

彼の言葉にはちゃんと心がこもってて、私を落ち着かせようとする彼の思いが伝わってきた。

「大丈夫。無事に帰れるよ。俺が保証する」

杉本君がギュッ私を抱き締める。

彼が自信を持ってそう言うなら、大丈夫なのかもしれない。

狭いゴンドラに二人きり。

頼れるのは杉本君しかいない。

この悪状況に一緒にいるのが彼で、私はラッキーだったのかも。

杉本君の身体の温もりに、私の心は次第に落ち着きを取り戻した。
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