オオカミ御曹司に捕獲されました
あれ?

私……変な事言った?

「あんたね、人をおちょくるのもいい加減にしなさいよ。私が聞きたいのはねえ……‼」

「篠原さん、梨花はこれでも真面目に答えてるんだよ。それに、今は仕事中。無駄話は休み時間にして欲しいな」

突然杉本君が現れ、やんわりと絵里ちゃんを注意する。

さすがの彼女も杉本君には反論できなくて引き下がった。

「杉本君、社長に呼ばれたにしては戻るの早くない?」

「ちょっと梨花に渡し忘れたものがあって」

杉本君がスーツのポケットからマンションのカードキーを取り出し、私の手に握らせる。

「社長との打合せ長引くかもしれないから先に帰ってて」

杉本君は柔らかな微笑を浮かべると、この場を去っていく。

急にシーンと静まり返るオフィス内。

そして、唖然とする私。
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