オオカミ御曹司に捕獲されました
キッチンに立ってる時後ろから『何作ってんの?』ってギュッと抱き締められる事はあるけど、後は手を繋いだりする程度。

拍子抜けっていうか……。

安心していいはずなのに、がっかりしている自分がいる。

私……心のどこかでまたキスして欲しいって願ってるんだろうか?

杉本君が顔を近づける度に、胸がトクンと高鳴る。

キスされるんじゃないかって身構えて……結局されなくて……。

杉本君ってやっぱり私を好きなんじゃなくて、私が困るのを楽しんでるだけなんだって思った。

「……五十嵐さん、五十嵐さん?」

江口課長の声でハッと我に返る。

「……はい?」

「本当に大丈夫か?」

「大丈夫です。杉本君さんと一緒だと凄く勉強になりますから」
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