オオカミ御曹司に捕獲されました
私の言葉に訝しげな視線を向ける江口課長。

あれ?

何かまたマズかった?

「……何かあれば遠慮なく相談しなさい。俺から杉本に言うから」

江口課長がメガネのブリッジを上げて抑揚のない声で言う。

この会社で杉本君に何か注意出来るなんて、社長と江口課長くらいだろうな。

うちの部長なんて、いつも杉本君の顔色窺ってるし。

「お気遣いありがとうございます、江口課長」

私は江口課長に向かって明るく微笑んだ。

素っ気ない感じだけど、彼なりに私の事を心配してくれているんだと思う。

その気持ちだけでも嬉しい。
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