オオカミ御曹司に捕獲されました
……杉本君は私にお父さんがいないのを気にしてくれてるのかな?

「万が一奇跡が起きて結婚出来たら、見せたいって思うかも。でも、私には父はいませんよ」

昔はいつかお父さんが現れるかもって夢見てたけど、もう大人になってそんな夢は抱かなくなった。

「仮定の話。でも、やっぱり女の子にとってウェディングドレスって憧れだもんね。そりゃあ、家族に見せたいよね」

一人納得顔でうん、うん、と杉本君が頷くと、彼は私から離れる。

この時私は、杉本君の質問の意図がよくわからなかった。

「変な杉本君」

そう呟き平静を装いながら再び夕食の準備に取りかかるが、杉本君の姿が見えなくなると、私は自分の胸に手を当てた。

まだ心臓がドキドキしてる。

今……杉本君に抱きつかれて自覚した。

私……やっぱり杉本君の事が好きだ。
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