オオカミ御曹司に捕獲されました
「適当な事言って、お前の妹を俺にけしかけるなよ」

江口さんは眉間にシワを寄せた。

「梨花は俺が引き受けますから、江口さんには詩織をお願いしようかと思いまして」

俺が含みのある言い方をすると、江口さんはじっと俺を見据えた。

「意味がわからない」

「わかりませんか?江口さんの妹の事は俺に任せて下さいって言ってるんですよ」

俺の言葉に、肉をつついていた江口さんの手が止まる。

「ずいぶんと自信ありげだな。調べたのか?」

「まあ、少し。否定しないって事は、梨花の兄って認めるんですね?」

俺の問いに江口さんは数秒沈黙。

だが、箸を置いてビールをゴクゴクッと飲むと、彼は梨花の方に目をやりながらポツリと呟いた。
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