オオカミ御曹司に捕獲されました
「五十嵐……梨花本人は知らないがな」

「自分は腹違いの兄だって梨花に名乗ったらどうです?」

「今さら名乗っても彼女が戸惑うだけだろ」

江口さんは仏頂面で答える。

「陰で見守ってるくらいなら言えばいいじゃないですか?俺が梨花と一緒にいると、江口さん結構怖い顔してますよ」

「それはお前が俺の前で梨花に家の鍵を渡したりして、俺を挑発するからだろうが」

ぶっきらぼうに言うと、江口さんは俺の肩をトンと叩いた。

「それはすみません。江口さんがどれだけシスコンなのか確認したくて」

「お前、悪趣味過ぎるぞ」

「江口さんのポーカーフェイスを崩したかったんですよ。ところで、江口さんの父親はどうして梨花を認知しないんですか?」

自分の社会的地位も大事だろうが、親の都合で子供を私生児にするなんて許せない。
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