オオカミ御曹司に捕獲されました
お父さんって……こんなに大きくて温かい。

私が父に会えた喜びに浸っていると、目を細めて私を見ていた杉本君と目が合った。

“良かったね”。

杉本君の目は、そう言っていた。

私は彼に向かってコクッと頷く。

父に会えたのは、きっと杉本君や社長のお陰に違いない。

「梨花、そろそろお兄さんの相手をしてあげたら?そのうち拗ねちゃうよ」

杉本君に言われてハッとする私。

課長の事をすっかり忘れてました、ごめんなさい~。

父の抱擁を解いて、江口課長に向き合う。

「江口課長……あの、“お兄さん”って呼んでも怒りませんか?」

恐る恐る聞いてみると、ムッツリ顔だった兄が急に柔らかな表情になる。

「仕事以外ではな」
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