オオカミ御曹司に捕獲されました
そう言って、兄がクシュクシュっと私の頭を撫でる。

やっぱり江口課長……兄は優しい。

入社試験の時からいろいろ助けてくれたけど、私が腹違いの妹って知ってたのかな?

「あの……江口課長がお兄さんで良かったです」

私が満面の笑みを浮かべると、兄は嬉しそうに頷いた。

「俺も可愛い妹がいて嬉しいよ。幸せな結婚するまでは……いや、結婚してもしっかり兄としての役目は果たすから」

兄が杉本君を鋭い視線で睨むと、杉本君は挑戦的な目を兄に向けた。

「梨花の事は俺がいるんで何の心配もないですよ。じゃあ、そろそろデザートにいきましょうか」

場を仕切り出した杉本君は、私に顔を寄せ小声で言った。

「デザートは柚子のシャーベットだって。二人で行った遊園地思い出すね」

杉本君の台詞で、あの観覧車での出来事を思い出し赤面する私。
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