オオカミ御曹司に捕獲されました
いくら氷水をかけられたからといって、ここまで震えるのはおかしい。

やはり、俺を怖がっている。

こっぴどく秘書室の女を振ったところを見られたが、それが原因か?

そう言えば、『あの……秘書の佐藤さんのことは誰にも言いません』ってどこか怯えながら言ってたっけ?

別に他の人間に知られても痛くも痒くもない。

むしろ、女が寄って来なくて好都合。

だが、五十嵐さんに避けられるのは面白くない。

仕事が出来る彼女を俺のアシスタントにしたいし、そして何より俺にもあの天使の微笑みを見せて欲しいと思う。

だからこそ逃がしたくない。

妹に教えてもらったブティックの前で、タクシーを降りて五十嵐さんの手を引いて店に入る。
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