オオカミ御曹司に捕獲されました
料理に集中させてって思ってたけど、今考えると彼なりに私を和ませようとしてくれたのかも。

でも、今日は杉本君に料理を邪魔される心配はない。

喜ぶべきなのに、何か物足りなくて寂しさを感じる。

杉本君のいるこの家が、いつの間にか私にとっても居心地のいい場所になっていたのかもしれない。

フライパンを取り出して油を引くと、切った材料とご飯を炒めてささっと炒飯を作った。

杉本君のお口に合うかわからないけど、これは小さい頃お母さんが作ってくれた炒飯を自分なりに再現したもの。

味付けは市販のウスターソースだけ。でも、私が大好きだった炒飯だ。

「杉本君も気に入ってくれるといいな」

炒飯を皿に盛ってラップをすると、ダイニングテーブルの上に置いた。

「これでよし」
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