オオカミ御曹司に捕獲されました
「でも、私は……杉本君には……‼」

釣り合わない……そう口を挟もうとしたら、杉本君が指を私の唇に当てた。

「俺は梨花が好きだ」

杉本君の真摯な目が私の瞳を射抜く。

彼の告白に私の涙はピタリと止まった。

「う……そ」

私の口から反射的に否定の言葉が出る。

すると、杉本君は少し寂しそうに笑い、私の唇に当てていた指をどけた。

「もっと早く言うべきだったかもしれない。他の女なんていらない。あのカフェでの出来事の前から俺は梨花に興味を持っていた。梨花の優しい心に引かれていたんだ。一緒に住んで、一緒にご飯を食べて、一緒に仕事をしているうちに、もっと梨花に夢中になった」

揺らぎのない杉本君の綺麗な瞳。
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