オオカミ御曹司に捕獲されました

「五十嵐さん、そこのフィッティングルームで試着してきて」

俺がニコリと笑って言うと、五十嵐さんは服をじっと凝視しながら顔をひきつらせた。

「杉本君……これは私にはちょっと……」

「早くしないとメガネ屋閉まっちゃうよ」

「……わかった」

五十嵐さんが眉間にシワを寄せ渋々と言った様子で服を持ってフィッティングルームに消える。

あの嫌そうな顔。

普通、女って服を買ってやると言えば凄く喜ぶのに……。

五十嵐さんってよくわからないな。

近くあった椅子に腰かけ、スマホをいじながら彼女が出てくるのを待つ。

すると、一分も経たないうちに彼女が出てきた。

「す、杉本君、こんなの高過ぎて無理です！」

……さては値札だけ見て出てきたな。