オオカミ御曹司に捕獲されました
「……風邪を引いたか?」

寝室に戻ると、五十嵐さんは寒いのか布団を頭まですっぽり被っていた。

「五十嵐さん、着替えよう」

「違うよ、梨花だもん」

拗ねた口調で五十嵐さんが言う。

「はいはい、梨花。着替えようね」

五十嵐さんが起き上がる力もないので、俺が手を貸して服を着替えさせる。

俺のジャージを貸したが、彼女にはかなりブカブカだった。

思わずクスッと笑うと、五十嵐さんに叱られた。

「笑わないで!梨花は辛くて寒いんだから!」

むくれた顔が可愛い。

何だか中学生の時の妹を思い出すな。

まあ、あっちはかなり生意気で、こんなに可愛くなかったけど。

「ごめん、ごめん。熱測るからじっとしててね」
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