オオカミ御曹司に捕獲されました
子供に言うように言って、五十嵐さんの熱を測る。

体温計の数値はすぐに上がって……。

「……三十八度二分」

これは高いな。

体温計をしまい、氷枕を取りに寝室を出ようとすると、五十嵐さんに手を捕まれた。

「行っちゃうの?」

潤んだ目で聞かれ、ドキッとする。

本人は酔ってて無自覚かもしれないが、この目は反則だな。

今日同期会に行かなかったのは良かったかもしれない。

……この顔は他の男には見せられないな。

「大丈夫だよ。すぐに戻る」

笑顔を作って頭を撫でてやるが、五十嵐さんは俺の手を離さない。

「梨花……寒い」

「わかった。どこにも行かない」

五十嵐さんの目を見て言うと、彼女は俺の手を握った。
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