オオカミ御曹司に捕獲されました
スーツ姿のままベッドに入り、彼女の身体をそっと抱く。

「これで温かくなるよ」

ゆっくり五十嵐さんの背中を撫でていると、安心したのか数分後には彼女の寝息が聞こえてきた。

やっと眠ったか。

彼女をからかうつもりが、結果的には俺が振り回された。

ハラハラさせられた夜。

このままもう少し抱いているか、もう少しだけ……。

しばらくしたらベッドから出るつもりだったのに、そのまま五十嵐さんを抱いたまま寝てしまい気づけば朝。

カーテンの隙間から日差しが差し込む。

「う……ん」

身じろぎしながら目を開けると、五十嵐さんは俺の胸に頭を預けながら寝ていた。

「こんなぐっすり寝るつもりはなかったんだが……」

普段寝つきはいい方ではないのに、他人と一緒に寝て朝まで起きないなんて……。
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