オオカミ御曹司に捕獲されました
あれは絶対わざとだ。

私が困るのをわかってて言ったに違いない。

だって、杉本君の目は笑っていたから。

『この資料まとめておいてくれない?あっ、でも体調悪かったら無理しなくていいよ』

杉本君は周囲の視線も気にせず、私の頭をそっと撫でて江口課長と一緒にミーティングルームに消えた。

その後の異様な空気といったら……。

みんな私と目が合ってもすぐに逸らして仕事に集中してるふり。

明らかに杉本君と一緒に出勤した事情を聞きたがっているのだけど……面と向かっては聞けないのだろう。

まあ、杉本君と私が一緒にいること自体ありえない出来事だもんね。

御曹司でイケメンで有能な杉本君と地味OLでさえない私とでは釣り合わない。
< 72 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop