Rain Days
あの日から、早1週間。

あたしの前に、ヒデが現れることはなかった。

最後に見た、ヒデの顔が頭から離れなかった。


「久しぶりに会ったのに、心ここに在らずだな」

「ごめん。そんなつもりはなかったんだけど」

「代わりに、ここはあおいの奢りで」


テーブルを挟み、目の前にいる男がコーヒーに手を伸ばす。


「で、新しい学校はどうよ」

「別に。良くも悪くも」

「寂しかったんだろ?俺らと離れて」


自信満々な顔が、無性に腹が立つ。


「相変わらずね、卓麻(たくま)」


卓麻は、前の学校の友達だ。

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