国王陛下の独占愛
ダコスとの戦があるかもしれないという噂が流れはじめるとともに
もう一つの妙な噂が、王城の中でささやかれはじめた。
「王様のお后選びが進まないのは、王様お抱えの薬師の娘が
邪魔してるんだそうだ」
「邪魔するって、ただの薬師の娘にそんなことができるのか?」
「そこは薬師だろ、なんでも王様の気持ちが自分にむくように
王様に出すお茶に惚れ薬をまぜているんだそうだ」
「へー、とんでもない娘じゃないか」
「それが証拠に、王城近くに住んでいた娘を、王様が自分の
部屋ちかくに呼び寄せたって」
「なんてことだ、国民みんなが王様がお后様を迎えられるのを
首を長くして待っているというのに」
最近、自分の姿をみるとコソコソと何か話しをする人がいたり、
変な目つきで見られたりするのは、何故だろうとソリは想い始めていた。
だが、自分についてとんでもないことを言われているとはソリは思いも
しなかった。
セヴェリもまた同じ頃、ソリについての噂をパルヴォから聞かされていた。
ソリを王城に匿ってすぐも、ソリを側妃にするつもりかと要らぬ勘ぐり
をされたが、自分がお后選びをはじめたことで、その批判はかわされたと
思っていたのに......とセヴェリはぎゅと眉を寄せる。
「陛下がはやくお后を決められないことにも問題はあります」
そんなセヴェリをパルヴォが責めた。
六人いたお后候補は三人に絞られていた。
だが、セヴェリはそれ以上進めるつもりはない。
だが、自分が一人を決めなければ、ソリが悪く言われ続けるのか......。