国王陛下の独占愛

 部屋にもどってきたソリは ”ここから出て行け” と乱暴な字で
 書かれた紙が部屋のドアに貼り付けてあるのを見て、ため息をついた。

 こそこそと噂されているだけのときは、まだよかった。

 最近はこうやって悪意をぶつけられることが度々ある。

 紙をとって部屋に入り、紙をテーブルの上に置くと、ソリは窓辺
 にいき外を見る。

 窓からは庭に干した薬草が見え、ソリは呟いた。


   「今日はいたずらされてないみたいね」


 誰がやったのか、最近、干した薬草をめちゃくちゃにされた。

 ソリは見ることもなく窓の外に顔をむけながら、自分にむけられる
 悪意について考えた。

 もうソリも、どんなことを裏で言われているか承知している。

 自分が惚れ薬を使っているなど、まったく根も葉もないデタラメに
 すぎないから、放っておけばそのうちおさまるだろうと思っていたのに
 おさまるどころか、だんだん酷くなっている。

 セヴェリはソリを気遣ってくれるが、ソリは自分がどんなことをされているか
 詳しくは言う気にはなれなかった。

 辛いことがあっても、セヴェリにお茶をだす時間がソリにとっては
 慰めだった。

 以前より交わす言葉は減ったのに、二人の間に流れる空気は暖かく
 穏やかで、ソリはいつも暖かい気持ちになる。

 セヴェリのことを思い出していたソリは、部屋のドアがノックされたのに
 気づいて振り返った。

 ”はい” と返事をし、ドアを開けたソリは、意外な人物が立っているのを見て
 目を見開いた。


   「パルヴォ様」
 

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