国王陛下の独占愛
どうぞと促されて、パルヴォはソリの部屋のソファに座った。
目の前の娘は地味なドレスに身を包み、慎ましやかに目をふせている。
噂で言われているようなことは事実ではないだろうとソリを見てパルヴォは
思った。
なのに何故、こんなに酷くなってしまったのだろう。
部屋に入ってきたときにチラリと見えたテーブルの上の紙のことを
考えて、パルヴォは内心ため息をついた。
「ああいったことを書いた紙がよく届けられるのか?
”でていけ”などと......」
パルヴォが問うと、ソリはゆるやかに微笑んだ。
「いいえ、そんなことはありません」
「そなたも、大変だな」
パルヴォは今度は本当に大きなため息をついた。
「ここに来たのは他でもない、お前から陛下に城を出ると言って
もらいたいと思ったからだ」
パルヴォの言葉にソリは目を見開いた。
「城をでる......」
「そうだ、そなたもこのような状態でここにいても辛いだけだろう。
なに、元の家に戻るだけだ、それだけのことなのに陛下は
”わかった”とは言われない。
合議の途中で、役官達にお前を身近に置いていることを責められる
程なのにだ」
ソリはさらに驚いて、パルヴォを見る。
「后も選ばれず、これだけ噂が酷いのに何もなされなければ、今度は
陛下に避難が集中するだろう」
「そのようなことになっては.....」