国王陛下の独占愛
「そうだ、だからお前から陛下に言ってほしい、側を離れたいと」
側を離れる.....。
「しばらくは、お茶を煎れにくるのもやめるとよいが、
とのかく陛下が后を決められるまでの間だけでもだ」
セヴェリが后を選べば、噂はすぐにおさまるだろう。
セヴェリが非難されることもなくなる。
でも......。
后を選んだセヴェリの側で、私は平気な顔をしていられるだろうか......。
ソリは固く目をつぶった。
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薬草の匂いがあたりに漂い始め、セヴェリは深く息を吸うとソファに
ゆったりと身を預けた。
目の前ではソリが湯に入れた薬草の様子を注意深く見つめている。
今までソリが薬草を煮立てる間は本を読んでいることが多かったセヴェリ
だが、最近はソリの姿をながめていることが多い。
ソリの表情、ソリの手.......。
それに見ているうちにソリの使う薬草についてもわかるようになってきた。
夜、お茶を煎れるとき、ソリはコムサという薬草を良く使う。
薬草を引き上げ、布で漉し、注いだお茶をソリがセヴェリの前に置く。
香りを味わい、一口含む。もう一口。
セヴェリがお茶を飲み干すのを待っていたように、ソリが口をひらいた。