国王陛下の独占愛
ソリの瞳に迷いがうかんだ。
ベルススは遠い。
そこまで遠く離れれば、陛下を非難するものなどいないだろう。
でも......本当に......自分は、セヴェリから......離れていいの?
離れたくない、その言葉が口からこぼれそうになる。
ソリは懸命に胸の中の想いを押しとどめた。
どちらにしろ隠し通さなければいけない想いだ。
自分はただの薬師なのだから。
「はい、ベルススへまいります」
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ソリが部屋から出るとともに、セヴェリはソファに深くもたれこんだ。
うつむき、頭をおさえる。
胸の中で大切にしていた想いが粉々に壊れた気がした。
ソリの言うことは間違っていない。
だから最後には頷くより他なかった。
「皆、私に国王だから......と言う。だが、本当に望むものを
側に置くこともできないとは、国王とは.......つまらぬものだな」
片頬を歪めた自嘲の笑みを浮かべ、セヴェリはそう呟いた。