国王陛下の独占愛

 ソリの瞳に迷いがうかんだ。

 ベルススは遠い。

 そこまで遠く離れれば、陛下を非難するものなどいないだろう。

 でも......本当に......自分は、セヴェリから......離れていいの?

 離れたくない、その言葉が口からこぼれそうになる。

 ソリは懸命に胸の中の想いを押しとどめた。

 どちらにしろ隠し通さなければいけない想いだ。

 自分はただの薬師なのだから。


   「はい、ベルススへまいります」


        *
        *
        *
        *



 ソリが部屋から出るとともに、セヴェリはソファに深くもたれこんだ。

 うつむき、頭をおさえる。

 胸の中で大切にしていた想いが粉々に壊れた気がした。

 ソリの言うことは間違っていない。

 だから最後には頷くより他なかった。


   「皆、私に国王だから......と言う。だが、本当に望むものを
    側に置くこともできないとは、国王とは.......つまらぬものだな」


 片頬を歪めた自嘲の笑みを浮かべ、セヴェリはそう呟いた。
    
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