国王陛下の独占愛
「すぐに食事の用意をさせましょう」
そう上機嫌でアミラ妃は言ったが、セヴェリは片手を上げてそれを止めた。
「食欲がありませんので、すぐに休みます」
それだけ言って去っていくセヴェリの背を見ながら、
アミラ妃は冷たい笑みを浮かべた。
弱ったセヴェリが自分の足元に屈する日が来るのだと思うとアミラ妃は
愉快になった。
自分のために準備された部屋に入り、少し休み、服を着替えたセヴェリの
もとへトゥーレがやってきた。
「ソリ殿は、町の宿屋に入られました。明日の朝の馬車でクルス殿
のおられる村近くまでいかれるようです」
トゥーレの報告を聞いて、セヴェリはほっと息をはいた。
王都からつけてきたものはいなかったようだし、ソリの身を安全なところに
うつすことはまず成功したといえるだろう。
「もう、会われないのですか?」
トゥーレがそうセヴェリに尋ねる。
「あぁ、明日は我々も砦にむかって早く発たねばならないだろう」
そう返事をしたセヴェリにトゥーレがさらに言う。
「後悔されるのではありませんか?陛下が......」
そうそこまでトゥーレが言ったとき、部屋の中に仕切りのために下げられている
カーテンがゆれた